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     歌う医学博士・Hideが行く
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  Vol.78. 時代を越える真理
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こんにちは。Hideです。


まずは前回のアンケートにご協力下さった方々、どうも有り難う。


それとお詫びと訂正。前回言いそびれてしまったが、前々回久美緒んさんの
ハンドルネームを間違えてしまった。どうもすみません。


さてあれからどうも、ゴルフに縁がないようだ。

と言うのは1月25日、スタートして2ホール回ったところで(つまり9分の1)、
大雪のせいで野球で言うコールドゲームになってしまった。その日雪の中で
ゴルフをしたのがたたったのか、夜から風邪を引いてしまい、2月1日のゴルフは
キャンセルを余儀なくされた。まあ15日はまたゴルフなので、その分頑張ろうかとも
思っているのだが。

1月31日はそういうわけで、メルマを書こうかとも思ったのだが、
やはりその気力がおきなかった。ゴメンナサイ。

ちなみに21日も医師会の用事なので、次は早くても28日になってしまう。
ほとんど月刊状態だ。

そういうわけで、今まで数々の尻切れトンボを(不本意ながら)作ってきたが、
病気婦長列伝もその中に加える事にしたい。続きを楽しみにして下さった方
(もしいらっしゃればだが)、ゴメンナサイ。

まあ病気婦長列伝なんてのは、もともと鈴木先生の本の話の前振りくらいにしか
考えてなかったのだが。しかし前回書いていて、長くなってしまったので仕方なく、
本題にしてしまったわけである。

立花隆さんも、「立花隆の同時代ノート」(講談社刊)の中で、こう言っておられる。

「田中角栄という男に興味がないわけではない。しかし、私のやりたいことの中で、
適正な時間配分を考えれば、せいぜい一カ月分の時間配分に値するテーマでしかない。
もうこの男にはウンザリしたと思いながら書いている」と(引用終わり)

僕も同じ事を、つぶやきたくなるのだ。

ちなみにこの本には、立花さんという方のお人柄の、輝かんばかりの気高さを示す
素晴らしい文章がこのすぐ後にあるので、そこも引用しておこう。少し長いが、乞うご容赦。

「このときは本当に、田中はそれで終わりにするつもりだったのである。(中略)

それだけ長い間一つのものを追いかけつづけたエネルギーのもとは何だったんですかと
よく聞かれる。(中略)やっぱり「あんなやつらに負けてたまるか」という気持ちが
いちばんだったのではないだろうか。あんなやつらとは、田中と田中の権力を支えていた
全ての人である。(中略)

私は昔から権力をかさにきて威張りくさる尊大な人間と、権力の前にひれ伏す卑屈な人間が
大きらいだった。

私の母は熱心なクリスチャンだったから、いつも「肉体を殺すことができても、
魂を殺すことができない者を恐れるな」と子供に教えていた。ローマの権力を恐れる
弟子たちにイエスがいった言葉である。(中略)私は、世俗権力というものを恐れたことは
一度もない。世俗権力も世俗権力にひれ伏す人も、昔から私には侮蔑の対象でしか
なかった。私が政治にかかわる人間と、根本的に価値観がちがうところで生きてきたと
いうのは、こういう意味なのである。そんな私にとって、あんなやつらに負けて
引きさがるかどうかは、自分の生き方の根幹にかかわる問題だった。絶対に負けるものか、
とことん戦ってやると思った。」(引用終わり)

時の宰相を向こうに回して、ペン一本のみを武器に孤軍奮闘なさった、
そして打ち勝たれた方のセリフだけに、説得力の塊のような文章だ。

そして僕が、病気婦長列伝を尻切れトンボの列に加える理由も、立花さんがその後に、
さらに詳しく書いて下さっている。もう少し一緒に読んでみよう。引用ばかりで恐縮だが
悪しからず(講談社さん、無断ですけど宣伝になりますし、許してくれますよね?
ちなみにこの本の素晴らしさは、ここでは百分の一も紹介出来ていないので、
皆さん是非ともお読み下さい。決して損はないです)。

「しかし、いま二十年をふりかえってみると、田中も私も、本質的には、くだらないことに
熱中してきたと思う。どちらにしても、永遠の相の下に見れば、つまらないことである。

砂漠で遺跡を見ていたころ、しばしば権力というもののはかなさを思った。
遺跡というのは、みな本質的に権力の遺跡なのである。権力者が自分の権力の強大さを
誇るために壮大な建造物を作る。しかしどんな壮大な建造物も時の流れには勝てない。
やがて崩壊し、風化し、半分砂の中に埋もれてしまう。誰もそれを作った権力者が
誰であったかなどということは記憶しない。

田中角栄も同じである。あの闇将軍時代、あれだけ強大な権力を誇っていたというのに、
いまでは、若い人の中には、「田中角栄ってだれ?」という人もいるという
(Hide註:1997年の本だ。そういう人は、今はもっと多いだろう)。田中もいまや、
遺跡になりつつあるのである。あと百年もすれば、田中角栄の名前など、誰も記憶する人が
いなくなるだろう。まして、そういう人物を批判して、一万枚もの原稿を書きつづけた男が
いたなどということは、それよりはるかに早く忘れ去られるにちがいない。

時代をこえて語られるのは、ただ一つ、時代をこえて語られるだけの価値を持つ真理である。

田中のおかげで、だいぶ無駄な時間を費やしてしまったが、そういう真理が見つかるか
どうか、遅まきながら、今度はそういう方向に自分の持てるエネルギーを集中したいと
思っている。(以下略)」


そういうわけで、立花さんと自分を同列に扱うほど僕は身のほど知らずではないが、
とりあえず次回からは、まずはいちばん鮮度が要求されるネタという事で、
ボサノヴァ講座・特別編の完結に着手したい。医療ネタ等がお好きな方々、
ゴメンナサイ。ボサノヴァファンの皆さん、28日をお楽しみに。



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