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     歌う医学博士・Hideが行く
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  Vol.72. 四方のビルを見下ろして(ボサノヴァ講座・特別編その4)
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こんにちは。Hideです。


まずは前回のアンケートにご協力下さった方々、どうも有り難う。


病院の方は、おとといとかは久しぶりに、外来中休むヒマもあった。入院も患者さんが
軽症化したり退院したりで、少し余裕が出てきた。しかし全ては、風邪ラッシュ、
そしてそれをこじらせた方々の肺炎・喘息ラッシュの、嵐の前の静けさなのかも知れぬ。


さて今回は久々に(だったと思うたぶん)、社会問題ネタ(医療行政以外の)を一つやろう。

もう旧聞に属しかけているが、カリフォルニア州知事選で、シュワルツネッガーが
当選した。その事自体は、タレント候補が政治家になっただけの話で、
別にここで取り上げるほどの価値はない。

僕が驚いたのは、アメリカの憲法に、大統領は生粋のアメリカ人でなければなれないという
規定がある事だ。

僕はアメリカは、チャンスの国だと思っていた。つまり誰でも、実力さえあれば
何にでもなれる国だ。

こんな話がある。

アメリカに移民を希望するある男に、確か移民局だったかの役人が、三つの質問をした。

一つ目は、「アメリカの首都はどこですか?」だ。アメリカ国民になるからには、
自分の国の首都の名前くらいは知っていて欲しいという事だろう。男はこれには
正しく答えた。

二つ目は、「アメリカの大統領は誰ですか?」だった。これも同じ事だろう。
男はこれにも正しく答えた。

三つ目は、「あなたはアメリカの大統領になれますか?」だった。

男は言った。「いや、それは困る。俺はアイスクリーム屋をやっている。
だから夏は忙しくて、大統領の仕事なんざやっているヒマはない。」と。

すると役人は言った。「それは困る。それではあなたは、アメリカ国民にはなれない。」と。

つまりこの話を作った人が言いたかったのは、「アメリカでは政治はみんながやるものだ」
という事だろう。「それは権利であるばかりでなく、義務でもある」という事だろう。

だとすれば、移民一世であるというだけで、大統領になれる道を閉ざしてしまう
アメリカ憲法とは、一体何なのだろうと思ってしまう。そもそもアメリカは、
移民の国ではないのか。

さすがに同じ事を感じている人はアメリカにもいるようで、この条文は改正しようという
動きもあるようだが。是非ともそうしてほしいものだ。

えっ?「よその国の事なんて、お前には関係ないだろ」って?

確かに、物理的な利害関係はない。

しかし僕は、アメリカの音楽──ロックやジャズやブルース──を、愛してやまない
人間だ。そしてそれらを生んだアメリカに、いろいろな欠点はあるものの、
それでもあこがれる人間だ。

その僕のアメリカの夢を、こわして欲しくはない。

大友康平さんも、以前紹介した、「星の向こうのアメリカ」(集英社文庫刊)という本に、
アメリカでスペシャルバンドを結成してライヴをやったときの事を書いているが、
その中でこう言っている(細部は違っているかも知れないが、悪しからず)。

「俺が歌い終わった後なら、やじり倒されたっていい。ビール瓶を投げつけられるのも
覚悟してる。

でももし俺が歌う前に、ヤジやビール瓶が飛んだら、俺のアメリカの夢は
消え去ってしまうだろう。」と

僕も同じ事を、つぶやきたくなるのだ。


それでは本題としよう。ランドマークタワーの続きだ。

列に並んで、エレベーターに乗り込んだ。

ランドマークタワーの展望フロアは、地上273メートルと日本最高だそうだ。
80キロの遠くまで見渡せるらしい。

エレベーターは、最高分速750メートルで(これは世界最速だそうだ)、
40秒間動いた。そして僕を、展望フロアに連れて行った。

展望フロアからの眺望は...、

やはり圧巻だった。これこそ横浜ミニツアーの、フィナーレにふさわしいと思った。
もちろんマリンタワーからの眺望も悪くはないが、はっきり言ってケタが違う。

回りのビルの屋上が全部見えた。その多くにはヘリポートがあった。
全て7年前のままだった。

バーでスクリュードライバーを買った。 余りウオッカを使っていないように思った。
グラスを片手に、ぐるりと観て回った。

景色を見飽きるまでいた。ランドマークタワーを出ると、コンサートの開演まで
時間がなかったので、日本丸を横目で見ながら、次は必ず行こうと思いつつ、
パシフィコ横浜へ急いだ(結果的には以前、CaptainUMEさんへのメールに書いた通り、
断念する必要は全くなかったのだが)。

ちなみに日本丸は、戦前・戦後を通じて実際に活躍していた航海練習船で、
今も年10回くらい、総帆展帆(全ての帆を広げる事)が行われているらしい。


今日は時間が余りないので、続きは次回。悪しからず。



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