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     歌う医学博士・Hideが行く
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  Vol.45. ジョビンを聴きながら (ボサノヴァ講座中級編・その7)
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こんにちは。Hideです。


まずは前回のアンケートにご協力下さった方、どうも有り難う。


Heliotropeは、今月からメンバーの都合で、集まりは隔週になってしまった。
そういうわけで昨日は休みだった。

だからいつもならクリニックにいる時間に(レコーディングはパソコン部屋で
やっている)、昨日はもう風呂に入っていた。久しぶりに「探偵ナイトスクープ」も観た。

しかし5月31日の自分のソロライヴの方は、確実に迫っている(時間と場所は、僕のHP

http://heliotrope.s9.xrea.com/

の、「ライヴ速報」を乞うご高覧)。なのになかなか弾き語りの練習をする時間がない。
それにつけても時間の欲しさよ。

今回はカヴァー曲の新ネタを2曲やる予定だ。曲目は当日のお楽しみだが、
どちらも僕の大好きな曲だ。


病院の方の後日たん(この字は変換が出来ない)だが、前回の「4月でもまだ寒い」の
人は、やっと退院する気になってくれた。よかった。

ただ他にも、併設の老人保健施設から受け入れを拒否されて、行くあてのない人がいる。
それは困った事だ。


ところでイラクの方だが、今日のニュースでは、最後の砦ティクリットも、
アメリカの無人偵察機が集めた情報では、もうもぬけの殻のようだ。

ここまで来たら、あとは犠牲者の方が一人でも少なくして戦争が終わる事、
そしてあの土地に、一日も早く平和と秩序が戻る事を祈るだけだ。

僕には何も出来ない。しかしあの土地で、何が起こっているかだけは知っていたい。

「ブッシュ妄言録」(ぺんぎん書房)という本がある。

この本はブッシュ大統領という人が、いかに世界はおろか、自国の歴史や地理に
ついてさえも無知であるかという事を教えてくれる。例えば「日本とわが国の関係は
150年間良好であった」みたいな事を言ったりとか(前の戦争はなかったのか?!)、
アメリカに住んでいるくせに、カナダとメキシコの間に国境はないのを
知らなかったりとか、「ワシントンD.C.とカリフォルニアは近いが、テキサスと
カリフォルニアはもっと近い」と言ったりとかだ(ワシントンD.C.とカリフォルニアは、
少なくともアメリカ国内では一番遠い同士の一つと思うのだが。そしてアメリカは、
かなり広い国だと思うのだが)。

まあ彼の名誉のために言っておくと、概してアメリカ人というのはそういうところが
あるらしい。つまり、自分の住んでいる所にしか関心がないという事だ。一例を挙げると、
アメリカでは全国紙は余り売れず、地方紙ばかりよく売れるそうだ。

だから、テキサスの事しか知らないテキサス州民がいても不思議ではない。
問題はその人が合衆国大統領という、事実上の自由世界のリーダーである事だ
(リーダーである事の良し悪しは別として)。

まあそういう人を大統領にしたのは、他ならぬアメリカ国民なのだが。

だから少なくとも僕は、彼らを反面教師として行きたい。

ちなみに落合信彦さんが、こんな事を言っていた。「ブッシュは自分が外交オンチだから、
国務長官にはパウエルさんのような人を選んでそれを補おうとした。しかしひるがえって、
我が小泉首相は、外務大臣に(以下略。これ以上は言わぬが花だろう)...。」


国を憂えるのはこのくらいにしよう。腹が立ってくるから。
というわけで(?)、ボサノヴァ講座だ。

ジョイスの、彼女自身のリーダーアルバムの最後を飾るのは、

Joyce Tom Jobim...Os Anos 60 (EMI-ODEON BRASIL)

だ。

熱心な読者の方は、このアルバムの事を覚えて下さっているかも知れない。ジョイスの話の
一番最初の回で、僕は「"Joyce Tom Jobim...Os Anos 60"というアルバムの
ジャケ写とかは、モデルとしても通用するのではないかと思うくらいだ」と言ったので。
男性の方は特にお一人くらいは、頭の片隅に残して下さったのではないだろうか。

このアルバムはタイトルの通り、ジョビン作品集だ。" 'S wonderful" を除いては、
全編ジョビン・ナンバーだ。それも「コルコヴァード」、「ウエイヴ」、「過ぎし日の恋」、
「デサフィナード」、「彼女はカリオカ」、「イパネマの娘」、「お馬鹿さん」、
「ワン・ノート・サンバ」、「ノーモア・ブルース」、「フェリシダージ」と、
ほとんどスタンダード集、名曲集と言っていい。

ただ、そんじょそこらのスタンダード集ではない。全編これ彼女一流のフェイクや
スキャットがバリバリで、他のシンガーのスタンダード集とは一味も二味も違う。

特に「イパネマの娘」とかは、完全に手垢のつききった超スタンダードナンバーなのだが、
彼女はこの曲を何と英語で歌って意表をついている。のんびりと転がすような歌い方も
面白い。

とにかく表現をやる人間にとって、人と同じ事をやるのは恥なのだが、彼女は多分、
「自分は渋めのナンバーをやらなくても、十分に人と違う事が出来る」という事を
言いたかったのだろう。

そう言えば僕の理論の師である(と言っても直接教わった事はないが)、福島英さんという
ヴォイストレーナーも、「オリジナルをやらなければオリジナリティーが
出せないようでは、ヴォーカリストとして失格だ。スタンダードナンバーを歌って
自分の持ち味を出せてこそ、本物のヴォーカリストだ」みたいな事を言っている。

もしそうだとすれば、ジョイスは本物のヴォーカリストなのだろう(当たり前だが)。


次回もジョイスの話は続く(そろそろ次でけりをつけたいが)。乞うご期待。


最後まで読んでくれて、本当に有難う。ご意見、ご感想等は

hide@helio-trope.com

までどうぞ。「こんな話が聞きたい」というリクエストも大歓迎だ。
(ここで紹介させてもらう事が有るので、それを希望されない方は
乞うご明記)


それとこのメルマのバックナンバーが、僕のHPで読めるので、

http://heliotrope.s9.xrea.com/

の、「メールマガジンバックナンバー」を乞うご高覧。デワマタ。