/*
     歌う医学博士・Hideが行く
                        */

***************************************************************
  Vol.40. 私の中のジョビン(ボサノヴァ講座中級編・その4)
***************************************************************


こんにちは。Hideです。


まずは前回のアンケートにご協力下さった方々、どうも有り難う。


今回は、記念すべき(?)第40号だ。ここまで僕を信じて、ついて来て下さった読者の
皆さん、本当にどうも有り難う。ここまでやって来れたのも、あなた方のおかげです。
ご期待を裏切らないよう、これからも頑張ります。どうか応援して下さい。


さて医療ネタが無いと思っていたら、恐ろしいニュースが飛び込んできた。
そう、あの泉北陣内病院の話である。

僕も曲がった事は嫌いな性格だから、ヤクザ者とは何回かトラブった事が有るので、
全く他人事ではない。

とにかくヤクザ者というのは──全てではなかろうが──、自分の事は棚に上げて、
他人の事は一人前に言いたがる(まあ政治家もまた然りではあるが)。

以前、物凄いボッタクリ病院にいた(まあそういう所しか働き口が無い方も無い方だが)。
仮に「M病院」と呼ぼう。

ここの院長というのが、これがまあ常識のかけらも無いようなオッサンで、
キサンボンという急性期の脳梗塞の、それも運動障害にしか適応が無い
(つまり保険が利かない)点滴を、片っ端から患者さんをつかまえては
見境なくやりまくったり(よく保険が黙っているものだ。きっと誰か政治家でも動かして、
圧力をかけていたのだろう)、入院が全く必要無い患者さんをなかなか
退院させなかったり、風邪の患者さんから1万円取ったり(当然患者さんは怒った)、
挙句の果ては保険請求の期間だからと言っては、月の半分診療を休んだりと
(「あんたの仕事は一体何やねん!」と言いたくなる。これでは患者さんが
減るのも当たり前だ)、いやはや何ともであった。

で、何でM病院の話をしたかと言うと、こういう非常識な病院には、非常識な患者さんが
集まるものだという事だ。

ある晩当直をやっていると、急性アルコール中毒の(要するに酒の飲み過ぎだ)女性が、
意識を無くして救急車で担ぎ込まれてきた。このダンナ(?)がヤクザ(あるいは
ヤクザまがい)の、品性や礼節の「ひ」や「れ」の字も無い不逞の輩で、僕が
「とりあえず入院させましょう」と言うと、何と第一声が、「お前今入院といったな!」と
お前呼ばわりだった。目が点になりながらも、「ご家族の方ですか?」と言うと、
「ご家族の方や」とほざいた。「テメエで『ご家族の方』とぬかすな、この低能が!」と、
心の中で毒づいていた。

救急室に入ってからも、僕や事務員さんの退去要求に従わず、しかもあろうことか
入院させようとした看護婦さんに暴言を吐き散らかすので、僕も自分の事なら
我慢は出来ても、他人の事だからついに堪忍袋の緒が切れて、別の病院へと
お引き取り頂いた。

このヤクザ者が(まあひとたび抗争にでもなれば、真っ先に鉄砲玉にされてハチの巣になる
ドチンピラだろうが)、退去要求に従わなかったあたりで、僕が舌打ちをしたの
上目遣いににらんだのと、テメエの無礼三昧振りは棚に上げてよくもまあ
おっしゃって下さった。

これで話が最初に戻った。つまり繰り返すと、「ヤクザ者というのは、
自分の事は棚に上げて、他人の事は一人前に言いたがる」という事だ。

だから僕は、ヤクザが嫌いなのだ(まあ好きな人は、余りいないだろうが)。

ちなみに売店のオッサンが(院長の義理の弟だ)その後、「どんな患者さんにも
ちゃんと対応するのが医者と違うの」みたいな、見当違いの説教を僕にして来たので、
僕も医者を一度もやった事が無い人から「お前の医者のやり方は間違っている」
みたいな事を言われて、「へえへえ、そうでごぜえますだー!」と大人しく拝聴できるほど
人間が出来ていないので、「だったらそれが出来る医者を雇って下さいな、
僕はこんな病院、別にいつ辞めたっていいんですから。」と、はっきり言ってやった。

ヤクザ者については、まだまだ言いたい事は有るが、それはまたの機会にとっておこう。


それでは不愉快な話はこのくらいにして、ボサノヴァ講座としよう。
今回もジョイスの話を続ける。

さて今までジョイスに限らず、いろいろなボサアルバムを紹介して来た。これらが最高の
ラインアップなのかどうかは、僕には分からない(「これを忘れてるぞ!」というのが
有れば、ご遠慮なく

hide@helio-trope.com

までご指摘頂きたい)。

ただ僕のガイドの通りアルバムを買って行けば、少なくともそんなに大きなハズレは
ないはずだ。それは保証する(今までのメルマを削除された方は、僕のHPで読めるので、

http://heliotrope.s9.xrea.com/

の、「メールマガジンバックナンバー」の、Vol.3435を乞うご参照)。

もし「ガイドの通りアルバムを買ったけど、全然いいと思わない」という事であれば、
多分あなたはボサに縁が無かったという事だと思う。ゴメンナサイ。

さて、こんなアルバムが有る。

ジョイス&トニーニョ・オルタ/セン・ヴォセ(オーマガトキ)

これはジョイスが、「ブラジルのパット・メセニー」と異名をとるギタリスト、
トニーニョ・オルタのギターのみをバックに吹き込んだアルバムだ
(何曲かはジョイス自身もギターを弾いているが)。

実にシンプルな編成ではあるが、ジョイスの歌とトニーニョのギターが、
全編これさすがのハイテクニックの応酬で、全く音の薄さを感じさせない。

ジョイスの歌は、例によって自由奔放だ。それにトニーニョも、
いろいろなギターテクニックを繰り出して、十分に応えている。

このアルバムは、全編ジョビンの曲だ(ジョビンについては、

http://heliotrope.s9.xrea.com/

の、「メールマガジンバックナンバー」の、Vol.22を乞うご高覧)。「彼女はカリオカ」、
「ジンジ」、「ソ・ダンソ・サンバ」、「オウトラ・ヴェズ」、そして
タイトルナンバーの「セン・ヴォセ」といったおなじみの──悪く言えば手垢のついた──
名曲の数々を、実に斬新に料理している。彼らのジョビンへの憧れと尊敬が、
こちらまでビンビンに伝わって来るようだ。

とにかく一度、だまされたと思って、このアルバムを聴いてみて欲しい。自分の言葉が
多分、このアルバムの素晴らしさを、一万分の一も伝えられていないだろうと思うと、
もどかしい限りだ。


次回もジョイスの話は、まだまだ続く。乞うご期待。


最後まで読んでくれて、本当に有難う。全体を通じてご意見、ご感想等は

hide@helio-trope.com

までどうぞ。「こんな話が聞きたい」というリクエストも大歓迎だ。
(ここで紹介させてもらう事が有るので、それを希望されない方は
乞うご明記)


それとくどいようだが、このメルマのバックナンバーが、僕のHPで読めるので、

http://heliotrope.s9.xrea.com/

の、「メールマガジンバックナンバー」を乞うご高覧。デワマタ。