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     歌う医学博士・Hideが行く
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  Vol.38. 続・効く薬の無い医者
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こんにちは。Hideです。


本日風邪で体調が絶不調だが、何とかこのメルマは出す。舌鋒の鋭さは鈍るかも知れぬが、
悪しからず(八つ当たりでかえって鋭くなるかも?!)。


病院の方は、相変わらず忙しい。漫画を含めた雑誌を読む暇も無い。

やはり高齢の方が多くて、病状が泥沼化することが多く、なかなか退院出来ないので
入院患者さんが減らないのだろう。

軽快しても、受け入れ先に不自由する事も多い。老人医療の貧困だろう。困った事だ。

退院する患者さんもいらっしゃるのだが、何しろ以前にも言った通り、外来3コマと
救急1コマと、おまけに当直1日を持っているので、どんどん患者さんが入ってくる。
従って入院患者さんが減らない。よって忙しいままだ。重ねて困った事だ。


さて前回のアンケートにご協力下さった方々、どうも有り難う。

ただ今回は、約半年ぶりに、「良くなかった」に投票された方がいらっしゃった。
これは一応、謙虚に受け止めねばならぬだろう。

コメントは一切無いので、僕なりに何故今回は良くなかったのか、いくつか考えてみた。
前回の補足もしたいと思っていたところなので、それも兼ねて開陳しよう。

時間に余裕がお有りの方は、今一度前回のメルマを読み返して頂くか、出来れば
プリントアウトなさってお手元に置いて頂けると有り難い(削除してしまわれた方は、
僕のHPで読めるので、

http://heliotrope.s9.xrea.com/

の、「メールマガジンバックナンバー」のVol.37を乞うご高覧)。


1.「勤務時間中に雑誌を読むとはけしからん」

→まず経営者に成り代わってご心配下さっているのなら、心配ご無用だ。僕は働いている
時間に、自分の給料は余裕で稼いでいる。

大体医者の仕事というのは、一つの間違いが患者さんの命を奪いかねない、いわば
「戦場」においてかつ、患者さんやご家族に優しく対応しないといけないという、
非常にシヴィアなものだ。それでなおかつ働きづめで全然休みが無いようでは、
ストレスで頭がおかしくなったり体を壊したりしても不思議は無い。

アメリカでは放射線科医は、年に2ヶ月間休暇を取るそうだ。それもそういう理由だろう
(放射線科でも、検査等で患者さんと接するときは有る)。

もっと卑近な例では、うちの病院でも外科の医者は、いつ見ても医局でパソコンを
いじっているかダベっているかだ。その暇さかげんたるや、内科の比ではない。

しかしそれで通用するのは、外科医というのは手術が無ければ暇なものである事、
そしてひとたび手術が必要な患者さんが来れば、彼らは夜間や休日でも手術をする事を、
他のみんなが承知しているからだ。

「漫画は下らない物だ」と十ぱ一からげに思っていらっしゃるのであれば、そういう方と
議論している暇は僕にはない。とりあえず「大使閣下の料理人」や、「ゴルゴ13」あたりを
ご一読頂きたい。

ちなみに例の某政党系の病院を辞めたのは、上司が音楽や漫画の事が
全然分からないくせに、さも分かったような顔をして物を言いたがる、
食わず嫌いどもだったのも理由の一つだ。


2.投票された方が、厚生省の関係者、もしくは支持者だった

→これはしょうがない。言論の自由だ。


3.「新聞の社説が気に入らん」

→これは現状認識の違いだろう。


4.投票された方が左翼だった。あるいは某病院の関係者ないし支持者だった

→これもしょうがない。言論の自由だ。

まあこうして、僕はいろいろな人達を敵に回していくのだろう。そして読者の方も
去って行くのだろう。まあこれも止むを得ない。嘘をついてまで部数を伸ばしても仕方ない。

ちなみに僕の事を、右翼と呼んだ人がいる。

僕は自分では、決してそうではないと思っているのだが。この際だから、僕の立場を明らかにしておこう。

僕はまず、民主主義者だ。

民主主義が理想のシステムかどうかは僕は知らないが、しかし現時点において
民主主義に勝る政治の意思決定のシステムが無いのもまた事実だろう。

だから僕は、独裁者や独裁政党や、独裁主義国家が嫌いなのだ。

そしてそういう国よりは、民主主義国家と付き合いたいと思うのだ。

僕は次に、愛国者だ。

愛国心という言葉が、どうもうさん臭い響きを持ってしまうのは、この国が
荒れ果ててしまったからだろうか。

僕の曲に、「遠くに在りて君を想ふ」というのが有る。

歌詞とセルフライナーノーツは、僕のHP

http://heliotrope.s9.xrea.com/

の、「Hide詞集」の「1」をご参照頂きたいが、僕が言いたかったのは自分の街を
愛する気持ちが、国を愛する気持ちにつながっていくという事だ。

もっと小さなレベルで言うと、自分の家族を守りたいという気持ちもそうだ。

また一方では、それはひいては、この国の国益を考えて発言し、行動するという事にも
つながるだろう。

まあこの辺の話は、またおいおい書いていこう。


5.「看護婦さんを馬鹿にするな」

→馬鹿にしているのではない。僕は看護婦さんには、看護と看護学のプロに対する
敬意を払っている。

ただ、「看護婦さんが看護と看護学の片手間で医学を勉強し、かつあの人達は3年か
多くても4年しか学校に行っていないのに対し、僕らは医学をメインに勉強し、
かつ6年間学校に行っている。だから僕等の方が医学を知っている」という、
ごく当たり前の事を言っているだけだ。

まあもちろん中には、看護婦さんより臨床能力が劣る医者というのも、広い世間には
確実に存在するが、そういうのは問題外としてあえて触れないでおく。


6.投票された方が、北朝鮮の国民、関係者ないし支持者だった

→まあこれはないだろう。今までにもさんざんあの国への批判は書いてきたし、
そういう方はとっくの昔に離れているだろう。


7.投票された方が、イラクの国民、関係者ないし支持者だった

→これもしょうがない。言論の自由だ。現状認識の違いだ。

ちなみにイラクが独裁国家である事は、大統領の信任投票で、
信任が100%であった事が何よりの証明だろう。


「良くない」に投票された方、その理由が以上7つのどれでも無いのでしたら、
差し支えなければお教え下さい。今後のメルマ作りに参考にさせて頂きます。



長くなったが、このあたりでお約束の前回の続きだ。

前回軍事評論家の兵頭二十八さんが、独裁国家に経済制裁は余り効果が無いと
言っている事、そして前の戦争の時、アメリカも日本も、お互い「相手にとって何が
一番痛いか」を読み違えた、つまりどちらも、「自分にとって痛い事は相手にとっても
痛いだろう」と、一人読み筋をやったと言っている事を書いた。

これは、具体的にどういうことかを話そう。受け売りが続くが悪しからず。

まず当時の日本はかなりの貧乏国だったから、戦艦を1隻沈められる方が、
水兵を千人殺されるよりもよほど痛かったわけだ。

だから日本は、「自分にとって痛い事は相手にとっても痛いだろう」と勝手に思い込んで、
「緒戦でアメリカの軍艦を大量に沈めてしまえば、アメリカは戦意を喪失するだろう」と
考えてしまった。だから真珠湾攻撃をやったわけだ。

ところがアメリカが戦意を喪失したかどうかは、その後の歴史を知る方なら、その正反対で
あった事はご存知だろう。「リメンバー・パールハーバー」を合言葉に、日本に復讐するべく
国民は一丸となったわけだ。

ところが一人読み筋をやったのは、日本だけではなかった。アメリカも同じ事を
していたのだ。

アメリカは曲がりなりにも民主主義国家だから、当時から現在に至るまで、
人命の──少なくとも自国民の──損失には敏感だ。硫黄島では、
アメリカ軍の戦死傷者も多数だったので、「こんな作戦はもうやめろ」と
非難の声が上がったそうである。

そこでアメリカは、「無差別爆撃で一般市民を多数殺傷すれば、日本はひとたまりも無く、
即刻降伏するだろう」と踏んだ。

ところが結果がどうだったかは、歴史が教える通りである。そしてこれは、前回
「独裁国家に経済制裁は余り効果が無い」話にもつながる。

ちなみにアメリカはこの失敗に学ばず、べトナムでも同じ過ちを繰り返したわけだ
(と言うか、ベトナムでは出兵の目的さえ達成出来なかったのだから、もっと悪い)。

レーガンの時になって、カダフィを爆撃で殺そうとしたあたりは(結局失敗)、やっと
学習したのかと思ったが、どうやらイラクや北朝鮮への対処を見ていると、
そうではないようだ。

あるいはフセインや金正日には、直接迫る手段が無いのだろうか。

そうでなければ、彼らを生かしておかねばならぬ理由が、何か有るのかも知れぬ。


次回こそは、そろそろボサノヴァの話に戻りたい。期待しておられた方、お待たせして
すみません(しかしボサノヴァ講座は、いつになったらけりがつけられるのだろうか...。
まあぼちぼち行こう)。


最後まで読んでくれて、本当に有難う。ご意見、ご感想等は

hide@helio-trope.com

までどうぞ。「こんな話が聞きたい」というリクエストも大歓迎だ。
(ここで紹介させてもらう事が有るので、それを希望されない方は
乞うご明記)


それとくどいようだが、このメルマのバックナンバーが、僕のHPで読めるので、

http://heliotrope.s9.xrea.com/

の、「メールマガジンバックナンバー」を乞うご高覧。デワマタ。