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歌う医学博士・Hideが行く
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Vol.14. あなたの主治医をやる気にさせる法・初診編(その5)
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こんにちは。Hideです。
まずはお知らせ。僕のプロデュースの日系ブラジル人ボサノヴァシンガー・
「ジョアン成原」のライヴが11月2日(土曜日)に決定した。場所と時間は
11月30日と同じだ。詳細は僕のHP
http://heliotrope.s9.xrea.com/
に近日中に載せるので、目を離さないで欲しい。ジョアン成原の自己紹介文はもう
読める。
次にお便りの紹介だ。邦子さんからだ(ファミリーネームとメールアドレスも
書いていらっしゃるが、いたずら防止のため掲載しない。悪しからず)。
全文掲載させて頂いた上、公開でお答えする。
>(Subject: )メルマガ読みました
> 初めまして!
初めまして。
> ぴよさんのメルマガを見て、登録しました。
有難うございます。
> 昔から病気とのお付き合いが絶えず、いまだに4科受診している私
> にとって、とても参考になり、役立つ内容です(^^)
もったいないお言葉有難うございます。励みになります。
> ところで、一つ残念なことがあるんです。
> それは、機種依存文字。
> 私はMacで読んでいるので、一部の数字が(火)などのように、曜
> 日に化けてしまいます。
> お手数ですが、Macで受信する人のために、数字などの機種依存文
> 字をもう一度見直していただけないでしょうか?
これは失礼。自分がウインドウズなもので、つい忘れてました。
ただこのメルマは、忙しい診療と音楽活動とその他もろもろの中、ボランティアで
やっている物ですので(土曜の午後診が忙しくなれば、存続が危ぶまれるくらいです)、
出来るだけご希望に沿うようには致しますが、万一忘れた場合はご容赦下さい。
> それでは、次号も楽しみにしています。
今後もいい物をお届けできるよう頑張りますので、応援どうか宜しくお願い致します。
それでは本題。今回から4.診察(身体所見)編だ。
カッコつきのタイトルにしたのには理由がある。お体の診察は「身体所見をとる」と
僕らの業界用語では言うが、素人さんにはなじみの無い言葉だからだ。かといって
「診察」と言うと問診も含んでしまうので、「両語併記(こんな言葉は無いか?)」
にした。
さてくどいようだが、今回の「やる気にさせる法」シリーズの大原則は、
「あなたの職業(学生の方ならあなたの専攻)の素人さんが、あなたに対して
『このくらいの敬意は払ってもらってもバチは当たらないだろう』と思うそれを、
あなたの主治医に払って欲しい」
と言う事だ。
これが大原則なら、4.診察(身体所見)編の「中原則(そんな言葉は無いか?)」
は、
「言われた事は言われた通りする、
言われていない事はしない」
と言う事だ。理由はVol.12で言ったので繰り返さないが、
http://heliotrope.s9.xrea.com/
の、「メールマガジンバックナンバー」を乞うご高覧。
以上頭に置きつつ読んで欲しい。
さて最初は、何と言っても
◇診察は拒否しない
という事だ。笑ってはいけない。決して多くはないが、こういう人はどこの病院にも
いる。うちのクリニックは比較的分かっている患者さんが多いが、それでもやはり
まれにはいる。
前回も言ったが、こういう人の行き先は薬局だ。医療機関ではない。一度も
患者さんを診察せずに薬を出すような無責任な事は、少なくとも僕には出来ない
(他の良識有る先生方も同じだろう)。
(余談:以前「男性医師が女性の患者さんの胸を診察する際はインフォームド・
コンセントが必要だ」などと寝言を言っていた医者がいた(そしてその医者の
影響か、同じような事を言う患者さんもいた)。この医者は臨床経験は有るはず
なのだが、どうしてこんな事を言うのだろう。よほど暇な診療をして
いるのだろうか。だとすればうらやましい限りだが)
次に、
◇血圧の測定の際は、袖をまくり上げない(「帯」(「マンシェット」という)が
巻きにくくなるし、厚着をしていると締めつけられて値が狂う(それ以前に、まず
診察場では薄着になって欲しいが。セーター、トレーナー等は脱いで欲しい))
◇血圧の測定の際は、手を無用に動かさない(よくマンシェットをまた越すような
動きをされる方がいらっしゃるが、はっきり言ってありがた迷惑だ)
◇いきなりベッドに寝ない(上半身の診察は、座ったままの方がやり易い)
◇いきなり服をまくり上げない(首のリンパ節等の診察がしにくくなる)
◇ワイシャツのボタンは外す。ネクタイはゆるめる(同じ理由だ)
◇目の病気のことは眼科医に(僕ら内科医は、目そのものを見ているわけではない。
目の下の「結膜」という所を見て、貧血や黄疸の有無を見ているのだ。但し
糖尿病性網膜症や、高血圧性眼底は別である。どんどん言って欲しい)
次に、胸の診察だ。
◇胸の診察では、下着も含め全ての服(女性はブラジャー以外全て)を、一番上まで
まくり上げる(そうしないと肺の一番上の方の音が聴けないし、肝臓病の場合は
特有の変化が、そのあたりの皮膚に現れる事が有るがそれも見逃す)
(余談2:昔の日本医師会長の武見太郎という人は、たとえ患者さんが現役の
国務大臣でも、パンツ一丁にして診察したそうだ。まあ普通の内科でそこまでやる
必要があるかどうかは疑問だが(大体僕ごときがそんな事をしたら患者さんが
来なくなるだろうが)、本当はそこまでやっても悪くないくらいのものなのだと
いう事は頭に置いておきたい)
◇打診だけで服を下ろさない(笑ってはいけない。こういう事をなさる方はかなり
いらっしゃる。「この人を今まで診た医者は、聴診器をあてなかったの
だろうか?!」と思ってしまう。「細かい事を...」と思われるかも知れぬが、
忙しい外来でこういう分かっていない患者さんが何人か続くと、疲れがドドッと
出てしまう)
◇決して、間違っても、聴診中は声を出さない!!(医者の耳にとって、これはもう
暴力に等しい。聴診器というのはごく小さい音を拾い上げる道具なのを考えれば
分かってもらえると思う。声を出しながら胸を触ってみよう。震えるのが分かる
はずだ)
(余談3:「沈黙の艦隊」では、主人公の潜水艦がアメリカ海軍に反旗を
翻すのだが、こののろしが、大きな音を立てて、アメリカの潜水艦のソナーマン
(他の潜水艦等の小さい音を聴き取る人)の耳をつぶす事だったのを思い出した)
時間がないので、今回はこのくらいにしておく。次回は4.診察(身体所見)編の続きだ。
最後まで読んでくれて、本当に有難う。ご意見、ご感想等は
hide@helio-trope.com
までどうぞ。「こんな話が聞きたい」というリクエストも大歓迎だ。
(ここで紹介させてもらう事が有るので、それを希望されない方は
乞うご明記)
デワマタ。