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歌う医学博士・Hideが行く
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Vol.7 身捨つるほどの祖国は有りや
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こんにちは。Hideです。
まずは例によって応援メッセージだ。いつものr_yamamoto(以下略)
さんから、
> HideのLIVE
との事である。これは僕のライヴに行きたいという意味なのだろうか。もしそうなら
本当にうれしいです。どうも有り難う(違うならゴメンナサイ)。秋までか遅くとも
年内には、Helioかジョアン成原か、出来れば両方のライヴはやりたい(あるいは
やらせたい)と思うので、どうか応援に来て下さい。
それと先月22日のライヴの模様を写真入りで僕のホームページにアップしたので、
ご興味がお有りの方は
http://heliotrope.s9.xrea.com/
を乞うご高覧(『ライヴレポート』のページだ)。
前僕は、このメルマで「DJを気取っている」と言ったが、そう言いながらどうも
違和感を持っていた。しょせん書き言葉だから、話し言葉と同列にはなり得ない。
それよりもっと近い物が有った。漫画家の小林よしのりさんの快(怪?)作、
『ゴーマニズム宣言(以下『ゴー宣』)だ(雑誌「SAPIO」に連載中)。
ご存知の方も多いと思うが、ゴー宣は社会のその時々のいろいろな問題(古くは
薬害エイズやオウム、新しくは教科書問題など)を俎上に上げて、小林さんの独自の
視点から、バッタバッタと痛快に、時には小林さん一流のユーモアを交えて
切りまくる。その語り口の縦横無尽さには、ほとほと敬服するばかりだ。最近では、
日本人の伝統と誇り、そしてアメリカや中国など大国の横暴についてよく論じて
おられる。
もちろん小林さんと自分を同列に扱うほど、僕は身の程知らずでは無い。しかし
僕も、せめて小林さんの足下には迫れるよう、いろいろな事を勉強し、そして
自分独自の考えを確立して行きたい。
そういうわけで、足下に迫るにはまずは自分の足下から.....と言うことで(?)、
本題に入る。バッタバッタとは行かなくても、せめてジョキジョキとは
切りたいものだ。
ご存知の通り、来年4月からの健康保険のサラリーマン本人自己負担3割化
(以下単に『三割負担』)が、先日与党の賛成多数で衆議院を通過した。
現在参議院で審議中だが、多分もう通過は止めようが無いだろう。
一言で言うと、これは政府与党の『弱い者いじめ』であり、「改革を
していますよ」と言うための『アリバイ作り』だ。あるいは小泉首相の、
唯一の頼みの綱の支持率が低下し切る前の『最後っ屁』だ。
『弱い者いじめ』だと言う理由は、ゼネコンや彼らと結託した代議士どもより、
僕ら医療関係者のほうが明らかに弱いからだ。要らない道路や公民館を作らすのを
止めさせるよりは、医療にかかるお金を削るほうがはるかに反発が少ないから、
政府は今回のような事をする。
この意味では、医療者を一方的に悪者にする今のマスコミの多数も同罪と言える
(裏で政府与党と結託しているのでは無いかとも思えてくる)。『医師会は最強の
圧力団体』と言い放った某マスコミに至っては笑止の極みだ。もし本当にそうなら、
誰も苦労はしない。少しは勉強してから物を言えと言いたい。
まあ政治家というのは、票にならない事はしない人種だから、その意味では僕ら
医療関係者や、三割負担で被害を受ける患者さん、そして患者さんになり得る
ほとんど全ての人たちが、もっと票になるように、つまりこんな悪法を通す政党には
投票しないようにしなければならないのだろうが。結局政治は国民のレヴェルを
超えられないという事だろう(政治に限らぬが)。
もちろん、Vol.3 や 4 あたりで書いたように、不必要な薬や注射や点滴や検査を
出しまくって荒稼ぎしている病院・診療所の面汚しや、そういうクサレ医療機関に
洗脳されたコスト意識のかけらも無い患者さんたちはゴマンといるが、そういうのは
そういうので、びしびし取り締まって、あるいは洗脳を解いて頂きたい(それは
こちらも望む所だ)。それはまた別の問題だ。
『弱い者いじめ』であるだけでなく『アリバイ作り』と言うのは、この程度医療に
かかるお金を削っても、国家財政が上向くとは考えにくいからだ。
確かに現在、国と自治体の借金は合わせて520兆円有る。そして毎年50兆円ずつ
増えている。
しかし医療費の国庫負担は、年7兆円『しか』増えていない。7兆円と言うと一見
すごいようだが、全体から見るとわずか7分の1だ。だから三割負担で、多少医者に
かかる人が減ったところで、はっきり言って焼け石に水だ。
そんな簡単な理屈が、頭の良さで飯を食っている官僚に分からない訳が無かろう。
だから三割負担にしても、老人医療定額制廃止・一割負担化にしても(こちらは
10月から開始がすでに決定している)、『改革をやっていますよ』という国民を
欺くためのポーズであり、ジェスチャーでしかないのだ(まあそれでだまされる
国民も悪いのだが)。
長い目で見ればこういった改悪は、、患者さんを病院から遠ざけることになり、
病気を手遅れにしてしまい、そのせいでかえって医療費は高騰する事くらいは、
まともな頭が有れば、そして少し考えれば分かると思うのだが、どうも国会議事堂に
おわすセンセイ方にはそういう長い目が無く(有ったとしてもあえて目をつぶり)
、「次の選挙さえ乗り切れたら、おらそれでええ」とお思いでいらっしゃるように
見える。
そう言えば、こんな言葉が有る。
Politician thinks about next election, and
Statesman thinks about next generation.
(政治『屋』(つまり偉くない政治家)は次の選挙のことを考え、
政治『家』(つまり立派な政治家)は次の世代のことを考える)
果たしてこの国に、政治『家』はいるのだろうか?
長くなってきたので最後にするが、もう一つだけ言わせて欲しい。国家は何の
ために有るのかと言えば、それは、
『国民の生命や健康、財産を守るため』だろう(異議のある人は教えて欲しい)。
とすればそれが出来ない国家に、果たして存在意義は有るのかという話に
なって来るだろう。誰かが言った。
『身捨つるほどの祖国は有りや』と。
僕は祖国のために身は捨てられないかも知れない(家族のためになら捨てられそうな
気はするが)。しかしせめて、『捨てるのだけは金輪際ゴメンだ』という祖国に
だけはしないで欲しい。
最後まで読んでくれて、本当に有難う。ご意見、ご感想等は
hide@helio-trope.com
までどうぞ。「こんな話が聞きたい」というリクエストも大歓迎だ。
それとこのメルマのバックナンバーが、僕のHPで読めるので、
http://heliotrope.s9.xrea.com/
の、「メールマガジンバックナンバー」を乞うご高覧。デワマタ。