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歌う医学博士・Hideが行く
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Vol.92. 拝啓 captain UME様 ＆ ゆうこ様
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こんにちは。Hideです。
先週メルマを出せなかった。どうもすみません。疲労が極限に達していて、
かつ落ち込む事があったもので。昼寝してしまいました。
実にうっとうしい天気で、しかも往診の患者さんのところへ行って（検査データが
悪いので、入院してもらった）、スタートが遅れたがめげずに行こう。
さて、今日はいきなり本題（医療ネタがお好きな方、またまたすみません）。
前回のアンケートにご協力下さった方々、どうも有り難う。
今回は、珍しく反響が大きかった。実にうれしい。これでこそ張り合いがあるというものだ。
まずは先着順に。captain UMEさんからは、メールを頂いた。例によって、
原則無編集ノーカットで紹介しよう（以下引用）
Dr.Hide様
久し振りにお便りしますが貴メルマはずっと拝読しておりました．今回の国防,
自衛隊等に関するご意見には全面的に賛同です．アメリカからの情報で中国原潜が
領海侵犯のおそれが有る事は事前に把握出来ていた様ですがTVで発表する官房長官の
他人事みたいな熱の無い喋り方には腹が立ちました．軍艦には無害航行権がないので
無断で領海侵犯をすれば問答無用で撃沈されて当り前です．真珠湾攻撃が始まる前に
ハワイ沖で潜望鏡を発見した米駆逐艦が直ちに攻撃を開始していますしそんな際には
いちいち攻撃許可など取っていませんから今回の日本の極楽とんぼ振りには当の中国が
呆れているのではないでしょうか？P3Cでただ追尾していたって何にもなりません．
直ちに撃沈するべきだったし（やろうと思えば出来るんでしょうねェ）それが世界の
常識的な行動だと思います．
仮に中国なり原潜の所属国が抗議してきても逆に日本潜水艦が相手国領海を侵しても
構わないのかと問えば返事が出来ないでしょう．昔日，ミグ25が函館に着陸した時は
旧ソ連から速やかな機体返還を求められて相当な危機感が有った筈ですが空自の戦闘機が
ソ連に亡命した場合に機体の調査もしないで直ちに返還してくれるのかと返答したら
黙ってしまったと云う事を読んだ覚えがあります．
お忙しいところ，アンケート欄に書けば良いのにちょっとスペースが足りなくなって
メールにしました．ではまた，お元気にて過ごされます様・・…．
（引用終わり）
僕の返事は、以下の通りだ（以下引用）。
> 久し振りにお便りしますが貴メルマはずっと拝読しておりました．
いつもご愛読、誠に有難うございます。
>今回の国防,自衛
> 隊等に関するご意見には全面的に賛同です．
重ねて有難うございます。やはり自分は間違っていなかったんだと、
意を強く致しました。
>TVで発表する官房長官の他人事
> みたいな熱の無い喋り方には腹が立ちました．
全くですね。
>軍艦には無害航行権がないので無断で
> 領海侵犯をすれば問答無用で撃沈されて当り前です．
有難うございます。海洋法の勉強になりました。
ただ、「問答無用で撃沈されて当り前」かどうかは、僕には分かりませんが。
しかし、潜水艦の場合は浮上して国旗を掲げないのは、違法なのは
間違いないですね。核を搭載していたとしたら、もう一つ問題でしょう
（このあたりは、
http://hunter.main.jp/IL/tOceansLaw.shtmや、
http://www.yomiuri.co.jp/teigen/1999/wlow.htm
から得た知識です）。
少なくとも、何らかの武力的な威嚇をして（Hide註：その前に、口頭で警告はしても
いいとは思うが、そんなものに耳を貸す相手ではなかろう。具体的には、どこかの
北欧の国が旧ソ連にやったように、爆雷を投下するべきかも知れぬ。但し今の海上自衛隊に
爆雷はなく、命中したら沈没する対潜ミサイルしかないが）浮上を迫るべきだったとは
思いますね。しかしそれが出来ないのも、結局は憲法第９条があるからなんですね。
もちろん、中国に対して日本政府が弱腰なのは、他にも理由があるでしょうけど。
外務省にも、中国のスパイみたいなのがたくさんいるようですしね。
とにかく、憲法第９条とか前文（例の「平和を愛する諸国民の公正と信義に
信頼して」のくだりですね）なんてのは、あくまで紳士協定なんですから、
中国とか「北」のような「国家の中のヤクザ」を相手にする時に（まあ前者の
方が、後者よりヤクザ度はいくらかマシでしょうが）、紳士協定を持ち出しても
意味がないですね。
> 真珠湾攻撃が始まる前にハワイ
> 沖で潜望鏡を発見した米駆逐艦が直ちに攻撃を開始していますしそんな際にはいち
>いち攻撃許可など取っていませんから
釈迦に説法を地で行くようですが（Hide註：captain UMEさんはseamanだ）、
http://pweb.cc.sophia.ac.jp/~j-eto/IntLaw/IL-3(2)-2.htm
には、「戦前の有力な学説・実行は、外国私船には通航権を認めるが、
軍艦の通航は当然に有害であるとする船種別規制を支持したが、
戦後は、無害性の判断は、船舶内の行為や通航の態様に
よるとする行為・態様別規制が認められるようになった」と
書いてました。ですから、あの時代だから出来た事ではないでしょうか。
>今回の日本の極楽とんぼ振りには当の中国が呆れ
> ているのではないでしょうか？P3Cでただ追尾していたって何にもなりません．
それは、僕も同感です。
> 仮に中国なり原潜の所属国が抗議してきても逆に日本潜水艦が相手国領海を侵して
> も構わないのかと問えば返事が出来ないでしょう．
それも、その通りですね。
>昔日，ミグ25が函館に着陸した時は
> 旧ソ連から速やかな機体返還を求められて相当な危機感が有った筈ですが空自の戦
> 闘機がソ連に亡命した場合に機体の調査もしないで直ちに返還してくれるのかと
> 返答したら黙ってしまったと云う事を読んだ覚えがあります．
なかなかさまになった外交ができる人が、当時はいたという事ですね。
> お忙しいところ，アンケート欄に書けば良いのにちょっとスペースが足りなくなっ
> てメールにしました．
いえ、何でも結構ですよ。ただ、今後はテキスト形式にして頂ければ、
返事もより差し上げやすいですね。もしよろしければ。
それと、このやりとりをまたネタに使わせて頂いてよろしいでしょうか。
その場合、お名前はCaptain UMEさんでいいですか？
>ではまた，お元気にて過ごされます様・・…．
はい、あなた様もお元気で。またお便り下さい。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
Hide
E-mail : hide@helio-trope.com
http://www.helio-trope.com
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
（引用終わり）
そのまたご返事（これでおしまい。以下引用）
To:歌うDr.Hideさん
Fm:○○○○（Hide註：captainUMEさんのご本名（だろうたぶん））
わざわざお返事頂きまして有難うございました.私の知識不足で済みませんでした.
それで以前にも中国軍艦が大隈海峡を通過したという記事に不思議な感を持っていたの
ですが納得致しました．怒ってばかりで勉強していない事がバレてしまいました．
何もお断りしていませんのでメールネタにされても結構ですが上記の通りでちょっと
お恥ずかしいですね．captainUMEも近頃サッパリですがどうぞお使い下さい．
（引用終わり）
次にゆうこさんからは、ご意見を頂いた。
＞善くない!9条失くしたらすぐ武力を試したくなるに決まっている。
とのことだ。ここで公開でお答えしよう。
まずは、ご意見有難うございます。とても励みになります。
ところであなたのご意見は、憲法第９条改正（以下、単に「改正」）のデメリットを
指摘されたわけですね。
普通人間が何かをやる場合には、メリットとデメリットをはかりにかけて、
前者が勝った場合に実行に移しますね（デメリットには、いろいろな有形無形の
コスト等も入りますね）。
改正のメリット（必要性も含めて）は、僕が前回書いた通りですが、一番大きい問題は
やはり、以前にも言いました通り、
「一朝有事の際には、僕らの生命や財産や、その他の人権を守るために（この国が他国に
占領されたら、人権もヘッタクレもないですね）命をかけて戦って下さる、またそのための
準備を、これまた日々命がけでして下さっている（訓練でも、殉職者の方が出る事は
あります）自衛官の皆さんを、このまま日陰者にしておいて果たしていいのか」
ということなのですよ。
僕に言わせれば、これは人道問題だと思うのですがね。
少なくとも僕は、自衛官の方に面と向かって、「お前ら一生日陰者でいろ」とは、
口が裂けても言えません。僕は、そこまで鉄面皮ではありません。
さて、あなたのご意見に戻りましょう。
「武力を試したくなる」というのが、どういうシチュエーションを想定して
いらっしゃるのか分かりませんが、侵略戦争のことでしょうか？
この国が侵略戦争をやる事は、少なくとも予測される将来にはないと思います。
その理由は、前回書いた通りです。付け加えれば、侵略が今の国際社会の状況で、
ペイするとはとても思えないからです（湾岸戦争を思い出して下さい）。
「試したくなるに決まっている」と断定的におっしゃるからには、それだけの根拠が
お有りなのでしょうし、非常に興味がありますので、是非ともお示し頂きたいですね。
hide@helio-trope.com
まで教えて下さい。
あるいは、まさに例の中国原潜の領海侵犯のようなケースを、想定していらっしゃるの
でしょうか？ そういうときに、対潜ミサイルを使うかも知れないとか、
あるいは領空侵犯の外国機を、撃墜しようとしたりするとかいう事でしょうか？
ひらやんさんという、即応予備役自衛官の方もおっしゃってますが（この方については、
http://hirayan.okigunnji.com/
をご参照下さい）、軍人さんほど戦争を嫌う人種はないのですよ。
「そんなバカな？！」と思われるかも知れませんが、考えてみれば当たり前の事で、
戦争になれば真っ先に死ななければいけないのは、あの方々なのですからね。
ですからひらやんさんは、「自衛官は、みんな反戦自衛官です。世間で言う
『反戦自衛官』は、実は『反日自衛官』です。」という旨の事をおっしゃってますね
（原文は、
http://hirayan.okigunnji.com/backnumber/38.htm
をご参照下さい）。
大体そういう先走りの越権行為をやれば、減俸なり降格なりクビなり（おそらく
後者でしょうけど）といった懲罰が下ると思いますが、それってサラリーマンにとっては、
かなり辛い事じゃないでしょうかね？ 僕もかなり長い間リーマン医者ですから
（今も、事実上雇われです）、それは身にしみて分かってますけど。
懲罰で済んだらまだいいですが、当然刑事訴追の対象にもなるでしょうね。
そこまでのリスクを犯してまで、「武力を試し」ますか、あなたなら？
最後まで読んでくれて、本当に有難う。ご意見、ご感想、ご質問等は
hide@helio-trope.com
までどうぞ。「こんな話が聞きたい」というリクエストも大歓迎だ。
（ここで紹介させてもらう事が有るので、それを希望されない方は
乞うご明記）
それとこのメルマのバックナンバーが、僕のHPで読めるので、
http://www.helio-trope.com/
の、「メールマガジンバックナンバー」を乞うご高覧。デワマタ。