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歌う医学博士・Hideが行く
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Vol.26. ポップスの王様にして生ける伝説、ポール・マッカートニー
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こんにちは。Hideです。
二週間ぶりだが、皆様いかがお過ごしだろうか。僕の住んでいる南大阪の某市では、
もう皮のコートが要る季節になってしまった。
まずは前々回のアンケートにご協力頂いた方、お礼を忘れてました。すみません。
そしてどうも有り難う(ひょっとして、いつも同じ方なのだろうか?)。
それと前々回の補足をしておこう。前々回、
美しきボサ・ノヴァのミューズ──ばらに降る雨/ナラ&エリス (日本フォノグラム
株式会社)
と言うアルバムを紹介したが、「そんなエリス何とかはどうでもいい!(エリスのファンの
方失礼!)ナラをもっと聴きたい!」とおっしゃる方もいると思う。
そんなあなたには、下記のアルバムをお勧めしたい。
美しきボサ・ノヴァのミューズ/ナラ・レオン( "PHILIPS" と書いてあるが、たぶん同じ
日本フォノグラム株式会社だろう。違ったらゴメンナサイ。まあ本と違って、会社が
分からなくてもCDは探せるかな?)
実は前々回紹介した「ナラ&エリス」の2in1盤は、こちらのダイジェスト版だ。確かに
おいしい所を拾い出してはいるが、やはり24曲から12曲を選んでいる哀しさ、いくつも
いい曲が落ちている。選んだ人がもしボサファンなら、ミス・ユニバース候補の美女
100人から1人を選ぶ心境だったのではないだろうか。
「ボニータ」がイチ押しだが(この曲に限ってノイズが入っているのは残念! ちなみに
この曲だけ英語なので、おぼろげながらどういう詞か分かる)、「平和な愛」、
「まなざし」、「白と黒のポートレイト」、「ポイズ・エ/そうなんだ」、
「フォトグラフ」、「オ・グランジ・アモール」といったボサノヴァの佳曲が、こちらでは
聴ける。宝物がぎっしり詰まっていて、まるで海賊船の船倉のようだ。
話は二転するが、いよいよ僕のグループ・"Heliotrope" のライヴが今日になって
しまった(詳細は僕のHP
http://heliotrope.s9.xrea.com/
の、「ライヴ速報」をご参照下さい)。開演まで7時間と20分。ライヴが迫ると、
いつもこうやって秒読みをするのだ。
何とか風邪を引かずに来れた。後はステージで歌うだけだ。今日来れない皆さんも、
お家でどうか応援して下さい。いい歌が歌えるように。
さて本題。ボサノヴァはまたまたお休みにして(待ってらっしゃった方、すみません)、
17日に行ったポール・マッカートニー(以下単に「ポール」の事を話そう。
とは言っても、余り長々としゃべる気は無いので、曲目等の詳細は新聞等に譲って(また
ライヴアルバムやDVD等も出るだろうし)、僕個人の印象や雑感のみを話そう。
今回はオペラの時とは違って、行かれた方も何人かはいらっしゃると思うので、
賛否両論とか補足とか何でもひっくるめて、
hide@helio-trope.com
までお待ちしている(ここで紹介させてもらう事が有るので、それを希望されない方は
乞うご明記)。
僕は環状線を大正で降りて歩いて行ったのだが、近くにはいいレストランが無かった
(簡単なイタリアンレストラン(「スパゲッテリア」と言う)は有ったが、長蛇の列
だった。本格的な方はあえて見ていない)。そういうわけで大阪ドームに行かれる方には、
食事は他で済ませてから行く事をお勧めする。
タクシーで難波まで行って、食事して戻ると、会場に入って席に着いた。僕の席はステージ
からほとんど真横(ステージから見て右)のわずかに前、スタンドの前の方だった。
こういう席もS席として売られているのが驚きだ(まあ外タレのコンサートではよく聞く話
だが)。多分A席は、スタンドの2階席あたりだけなのだろう。
開演前、時々アリーナからどよめきが起こった。たぶんポールの奥さんか、誰か他の
有名人が来たのだろう。スクリーンに映してくれたらいいのにと思った。関西の有名人は
結構来ていたのだろう(東京の人は東京ドームとかに行くだろうが)。
そう言えば、ポールのMC(曲の間に入るしゃべり)は、通訳が翻訳して字幕で
スクリーンに出していた。試み自体は大いに評価するが、真ん中の客用のスクリーンにしか
出ない事があるのには(と言うか、映像自体がまず出ない)閉口した。おかげでジョン・
レノンの話が余り分からなかった。やはりあれでS席は高い(としつこく)。
20分くらい遅れて、いよいよ開演...と思いきや、変な仮装をした人達の、訳の
分からないショウが、20分か30分は続いた。あれをやめて、曲をもっとやって
欲しかったと思ったのは( "Get Back" とか、"Long Tall Sally" とか)
僕だけだったろうか。
ショウが終わると、いよいよ御大登場。"Hello Goodbye" が、初めて聴いたポールが生で
歌うビートルズナンバーになった(ちなみに僕が初めて聴いた、本物が生で歌うビートルズ
ナンバーは、ジョージ・ハリスンがクラプトンと一緒に日本に来た時の、"Taxman"
だった。もう一つ話がそれるが、「ジョージはポールやジョンよりいい曲を書かなければ
ボツになるので、実に大変だった」と言った人がいるが、全く同感だ)。
実は僕は今回、ポールを「聴きに」行くつもりは無かった。最後の来日かも知れないと
いうので、「見に」行くつもりだったのである。と言うのはあの人の新譜や、その前にも
去年の暮れのキャバーン・クラブでのライヴとかでの歌が、余りにもひどかったからだ。
「あれでベースを弾きながら歌うのは、客に失礼やで! 歌に専念せんかい!」と
思ったものである。
ところがなかなかどうして、今回はかなり立派に歌っていた。もちろん寄る年波には
勝てず、高音のツヤは今一つだったし、時には音程の甘い所もあったが、
しかしそれにしても曲の良さを損なう事は無かった。やはり本人も言っていた通り、
好調だったのだろう。思わぬ拾い物だった。
各個の曲については、細かい事は前述の通り言わないが、"Blackbird"
と "Maybe I'm Amazed" は
涙が出た。前者は反差別の歌だったというのは、不覚にもポールのMCで初めて知った
(アフリカ系アメリカ人の少女の歌らしい)。
そう言えばポールはMCで、「ジンシュモンダイ」とか、片言の日本語を盛んに振りまいて
いた。そればかりか大阪弁まで使っていた。ミック・ジャガーと違って、この人の芸風なら
似合う(ミックがヘタクソな日本語を振りまいて、日本人に媚を売った時は、
「あんたがそんな事やっちゃいけねえ!」と思わず叫びたくなったが)。
ニューアルバムの曲で、現在の奥さんに捧げた曲はなかなか良かった。やはり歌がいいと
生きるのだろう。
ウイングスのコーナー(?)では、高校生の時を思い出して懐かしかった。そう言えば
あの頃、同じクラスの奴がウイングスのコンサートチケットを買っていたが、ポールが
マリファナで逮捕されて、チケットがパーになってしまって悔しがっていた。
今頃どうしているだろうか。
結構ウイングスファンもいたようである。
ビートルズナンバーを大量に演奏したのは、新聞等で言っていた通りだ。ミック・ジャガー
のソロツアーの時もそうだったが、「このバックの奴らも、アマチュア時代に(いや、
事によるとプロになってからも)絶対にビートルズナンバーをやった事があるはずだ!」と
思いつつ見ていた。
そう言えばバックミュージシャン達は、ギターの二人はロングヘアで、いかにも二昔か
三昔前のロックミュージシャンという感じだったりとか、かと思うとドラムスの
アフリカ系のおっさんは、まるでプロレスのアブドーラ・ザ・ブッチャーから頭の傷を
取り去ったようだったりとかで(ちなみに実にノリノリだった)、見ていて面白かった
(ちなみにキーボードの人は、「ただの頭の薄いおっさん」と言う感じだったが、この人が
音を実に重厚にしていた)。
僕もいっしょに歌える曲がたくさん有って楽しかった。"I Saw Her Standing There"
とかは、昔バンドでやった事があるので、思わずノリノリで歌ってしまった。
少し残念だったのは、2回目のアンコールのラスト(つまりオーラス)が、ビートルズ
ナンバーでなく、何か知らない曲(セッション風)だった事だ。この際ヒットパレードで
徹底しても良かったのではないだろうか。
ポールの衣装の事について言えば、上着(ジャケット?)の下はTシャツと、
下はジーンズというほとんど普段着と言うか、普段着そのものだった。
やはり「ポップスの王様には、衣装などは要らない。彼の存在そのものが、最高の衣装だ」
という事なのだろう。
どうか今回が最後などと言わず、神のもとに召されるその日まで、ウクレレを弾き
エレキピアノを弾き、生ピアノを弾き生ギターを弾き、エレキギターを弾きベースを弾き、
そして歌い続けて欲しいものである。何しろ彼こそは、20世紀最大のポップスター達の
一人で、そして生きた伝説なのだから。
感動をどうも有難う。Thank you, and long live, Mr. Paul McCartney!
次回こそはボサノヴァの話をしたい。乞うご期待。
最後まで読んでくれて、本当に有難う。全体を通してご意見、ご感想等は
hide@helio-trope.com
までどうぞ。「こんな話が聞きたい」というリクエストも大歓迎だ。
(くどいようだが、ここで紹介させてもらう事が有るので、それを希望されない方は
乞うご明記)
それとこのメルマのバックナンバーが、僕のHPで読めるので、
http://heliotrope.s9.xrea.com/
の、「メールマガジンバックナンバー」を乞うご高覧。デワマタ。