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歌う医学博士・Hideが行く
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Vol.20. フェンスの向こうの彼女
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こんにちは。Hideです。
やっとの事で、パソコンのトラブルも何とか復旧した。まあ未だに不具合はいろいろ
有るが、こうやってメルマを出せるだけでもとりあえず良しとすべしだろう。
昔ナチの爆撃で店の入り口を壊された、イギリスの商店主がこんな招待状をお客に出した
そうだ。
「常に開店しており候」と。
そのくらいの「どうにかなるさ」精神で、行きたいものである(そうしないと辛い事
苦しい事ばかりのこの世の中、生きて行けはしない)。
さてとしさんから、早速メールが来た。うれしいねえ。ご了承を得たので、全文掲載させて
頂いた上(メールアドレスだけは例によって、いたずら防止のため掲載しない。
悪しからず)、お答えする。
Subject: メルマガ拝見しました。 としです
> Hideさん初めまして
> としと申します。
>
> 御免なさい。
> ちょっと期待させてしまいましたか?
> 私は医療関係者でもなく、ただの素人です。
>
> メルマガにあったリバビリンのお話ですが、
> 報道の仕方には問題があると思います。
>
> もう亡くなってしまいましたが、私の叔父はC型肝炎で、肝臓癌でした。
> 手術も出来ず、半年に一度位入院して
> 癌の部分に直接エタノールを注射していました。
>
> その時の薬の中に、名前は忘れてしまいましたが
> 「しょうさんなんとかとう」?
> とか言う薬があったんです。
> 丁度その頃、その薬の副作用で亡くなった方が出たという
> ニュースが流れました。
> 副作用はどんな薬でもあると思います。
> でもその薬が良く効く人もいます。
>
> 亡くなったという事実は伝えなくてはいけませんが
> 効用もあるという事も一緒に伝えて欲しいです。
>
> そういう事もあり
> メルマガの感想を書かせて戴きました。
>
>
> Hideさんのメルマガをいつも楽しみに拝見しています。
> 医師の方がハッキリ物を言っている所が良いですね。
> そういうお話は、なかなか聞けませんから。
>
> いつも感想が書けるかどうか解りませんが
> これからも楽しみに読ませて戴きます。
>
>
> Hideさんのメルマガは、ぴよさんのメルマガのリンクから
> 見るようになりました。
>
> この間の健康診断で脂肪肝気味と言われ
> 運動不足を実感している、としでした。
> それでは失礼します。
>
>
> ----------------------------
> toshi
僕の答えは以下の通りだ。
> Hideさん初めまして
初めまして。
> 御免なさい。
全然気にしてませんよ。
> ちょっと期待させてしまいましたか?
> 私は医療関係者でもなく、ただの素人です。
分かりました。
> 「しょうさんなんとかとう」?
> とか言う薬があったんです。
たぶん「小柴胡湯」のことだと思います。これも肝炎の治療薬です。
> 丁度その頃、その薬の副作用で亡くなった方が出たという
> ニュースが流れました。
> 副作用はどんな薬でもあると思います。
そうですね。その通りです(程度の差は有りますけど)。
> でもその薬が良く効く人もいます。
> 亡くなったという事実は伝えなくてはいけませんが
> 効用もあるという事も一緒に伝えて欲しいです。
全くその通りだと思います。こういう不幸な事例をとらえては、
「だから現代医学の薬はダメなのだ」みたいな暴論を言う人も
いますが、これは「松井は昨日の試合でノーヒットだった。
だから彼はダメなバッターだ」と言っているようなものですね。
やはり1シーズンとか、そういうスパン(時間の単位)で評価すべきです。
> そういう事もあり
> メルマガの感想を書かせて戴きました。
有難うございます。
> Hideさんのメルマガをいつも楽しみに拝見しています。
重ねて有難うございます。
> 医師の方がハッキリ物を言っている所が良いですね。
> そういうお話は、なかなか聞けませんから。
たぶん患者さんが怒って逃げたら困るからでしょうね。僕も匿名だから
書けますが、実名なら無理でしょう(ほかの医者からの嫌がらせとかも
予想されますしね)。
> いつも感想が書けるかどうか解りませんが
> これからも楽しみに読ませて戴きます。
有難うございます。これからも宜しくお願いします。
> Hideさんのメルマガは、ぴよさんのメルマガのリンクから
> 見るようになりました。
本当にぴよさんには感謝してます。
>
> この間の健康診断で脂肪肝気味と言われ
> 運動不足を実感している、としでした。
お大事になさって下さい。
Hide
とまあこのように、読者の皆さんからのお便りにはお答えさせて頂いている。他の
皆さんも、ご意見、ご感想およびご要望等は、
hide@helio-trope.com
までどうぞ。「こんな話が聞きたい」というリクエストも大歓迎だ。
(ここで紹介させてもらう事が有るので、それを希望されない方は
乞うご明記)
では本題に入ろう。今回は、記念すべき第20回だ。ここまでこのメルマをサポートして
下さった読者の皆さんのおかげだと思う。どうも有り難う。これからも応援して下さい。
この記念すべき回に、前々回約束したとはいえ、こんな憂鬱でかつ不愉快な話題を書かねば
ならないのは、正直言って気が重い。しかしあの国のあの体制のために、今まで犠牲に
なられた方々、現在も苦しんでおられる方々、そして生存さえも脅かされていらっしゃる
方々の事を思うと、やはり書かずにはいられない。
なおもしこのメルマの発行が急に止まったら、それは僕があの国からの刺客の、
凶弾や凶刃に倒れた(あるいは拉致された)のだと思って欲しい。
ご存知の通り、北朝鮮(「朝鮮民主主義人民共和国」などと僭称しているが、「朝鮮独裁
主義帝国」の方がよほどお似合いだろう。まあ「独裁主義帝国」でもまだ長ったらしいし、
言い慣れているのでので「北朝鮮」で行こう)が、拉致疑惑についてシラを切って
いたのを、先日一転して白状した。
あの国がいかに常識を超越した、国全体が収容所とも言える独裁国家であるかは、僕は
以下の書物を読んですでに知っていたので、別段驚きもしない。
北朝鮮絶望収容所 安明哲著 KKベストセラーズ
北朝鮮拉致工作員 安明進著 徳間書店
詳細はこれらの書物をご高覧頂きたいが、あの国自体が一つの収容所である事を示す例を、
後者から一つだけ引いておこう(以下引用)。
「権力の序列で10位にある桂応泰書記さえも、スパイ教育を専門に実施している金正日
政治軍事大学に足を踏み入れるのは初めてだった(中略)私たちが使っている食堂で同じ
食事をとりながら、北朝鮮でこのような恵まれた待遇を受けている人々がいるとは
知らなかったと話していた(中略)その日の午後、桂書記は私たちの寝室を訪れた。室内を
検分した彼は(中略)韓国に新聞を見つけると、目を丸くしながら紙面を珍しそうに
めくっていた。韓国の新聞を目にするのは初めてだったのだろう。北朝鮮では、最高位の
幹部でさえ私たち学生より韓国に対して無知なのだ(後略)」
つまり、「知らしむべからず、寄らしむべし」があの国の国是であり、そしてそれは
どんな「エラい」人でも──金正日を除いては──例外ではないという事だ。
僕は以前から、拉致については事実だと主張して来たが、あの国を常識が通用する国家だと
思っていらっしゃった方々はさぞや大慌てだろう。
とにかく金正日が政権の座に居座っている限りは、国交正常化など狂気の沙汰だ。独裁者を
信用してはいけないというのは、スターリンやヒトラーが残した教訓である。ストーンズも
"Highwire"(綱渡り)という曲で、フセインの事をこう言っている。
「ミュンヘンの再来は許されないから、第46空挺師団を派遣するんだ」と。
この「ミュンヘン」というのは、当時のイギリスの、ナチに対する宥和政策のことだ。
具体的にはチェコのズデーデン地方をナチスドイツに割譲して、その代わりこれ以上の
侵略を止めさせるという約束である。そしてその約束は、果たされる事が無かった。
つまり、独裁者に譲歩は無用という事だ。
日本は憲法の規定により、空挺師団や特殊部隊は派遣出来ないが、その代わり奴らへの
援助を完全に断ち切るという手がある。どうせ援助した物が、必要な人の手に入ることは
無いのだから構う事はない。これも以前から、僕が主張してきた事だ。
えっ?「そしたらやつらが逆ギレして、日本を侵略してこないか」って?
もちろん、奴らが侵略して来る可能性が全然無いわけではない。しかしそれは、いよいよ
奴らが──具体的には金王朝が──破滅直前になって、「おまえら(日本も韓国も)全部
道連れじゃー!」とヤケになった時だ。日本を敵に回せばアメリカも黙ってはいない事、
そしてアメリカにはとても敵わない事が分からないほど、やつらもバカではないだろう。
そして破滅の日は、遅かれ早かれいつかは来る。あんな異常な体制がいつまでももつ訳は
無い。問題はそれがいつかという事だ。
だからあの体制を長引かせるような事は、はっきり言って無駄でしかない。そういう事だ。
「同じ東アジアに、国交の無い国があるのはおかしい」と寝言をおっしゃる方には、
「それなら同じ民主主義国家である台湾と、まず国交を回復しなさいよ」とだけ言っておく。
中国が文句を言おうがどうしようが構う事は無い。あの国も一党独裁国家なのだから、
一つ穴のムジナだ。日本の友にはなり得ない。
さて僕の曲に、"Long Distance Love Call" というのが有る。こんな歌詞だ。
抱きしめて 折れるほど
その手の中 離さないで
辛かった 思い出も
忘れさせて あなたの胸で
どんな遠く 二人の距離 今は離れても
いつかきっと めぐり逢える その日を信じて
今は 一人 このさびれた街にいるのよ
Yes, my long distance love call
前述の「北朝鮮絶望収容所」は、北朝鮮の強制収容所の元看守で、韓国に亡命した人が
書いた本だ。この人が囚人の女の人を好きになるのだが、彼女に塀の外の元婚約者の写真を
見せる。すると彼女がこう言うのだ。「世の中の女性はこんなに素晴らしい服を着ているの
ですか。まるで天女のようですね。」と。別にそんないい服じゃない。ごく普通の服だ。
囚人の彼女の格好は想像がつくと思う。
ここを読んだときどうしようもなく泣けてきて、とても厚かましいとは思ったが、彼女の
気持ちをほんの何万分の一でも代弁できればと思って、あえてこの曲を作った。この曲を
歌うたび、僕は今でも塀の向こうにいるであろう彼女の、一日も早い開放を祈らずには
いられない。
この曲は11月30日の、Heliotropeのライヴで歌う予定だ(時間、場所等詳細は、僕のHPで読めるので、
http://heliotrope.s9.xrea.com/
の、「ライヴ速報」を乞うご高覧)。あの国のあの体制のために、今まで犠牲になられた方々、
現在も苦しんでおられる方々、そして生存さえも脅かされていらっしゃる方々のために、
心をこめて歌いたい。
最後まで読んでくれて、本当に有難う。
あとこのメルマのバックナンバーが、僕のHPで読めるので、
http://heliotrope.s9.xrea.com/
の、「メールマガジンバックナンバー」を乞うご高覧。デワマタ。