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     歌う医学博士・Hideが行く
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  Vol.19. あなたの主治医をやる気にさせる法・初診編(外伝+α)
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こんにちは。Hideです。

まずはお礼。前号のアンケートにご回答下さった方、どうも有り難う。励みになります。
何も新しくないのに、「良かった」に投票して下さってうれしいです。

さて本題。しばらく新ネタを出さない間に、書きたい事がたまった。まずは医療関係の
小ネタから片付けていこう。


1.医者が御家族を呼ぶ場合

数日前の新聞に、末期癌の患者さんの家族に、医者が癌を告知しなかったため、
最高裁で敗訴したというニュースが載った。

実はこれは、「やる気にさせる法」の「付き添い編」に、大いに関係が有る話だ。

僕は「医者には、ご家族とコミュニケートする義務は無い」と書いた。実はこれには例外が
有る。それは以下の通りだ。

一、患者さんに、十分なコミュニケーション能力や理解力が無い場合

ニ、患者さんに、差し迫った生命等の重大な危機が有る場合

そして往々にしてニ、と重複するが、

三、患者さんにウソをつかねばならない場合、

あとは

四、危険度の高い検査や処置等をする場合、だ。

件の医者は、恐らくニかつ三であると判断したのだろうから、これは明らかに彼の怠慢で
ある。僕も他山の石としたいところだ。


2.3時間待ちの3分間診療

「やる気にさせる法」の中で、僕は「忙しい外来」という言葉を何度となく使った。

さて、こういう忙しい外来は何故出来るのだろう?

まあいろいろ理由は有ると思う。患者さんの不必要な大病院指向、診療報酬の安さによる
(初診料は2700円、再診料に至っては初回でも1330円、それ以降はそれ以下しか
保険は認めていない!!!)による病院の経営難、そして医療関係者の貴重なマンパワーを
無駄使いさせる、困った経営者や患者さんたち....。

どれ一つとっても、なかなか簡単にどうにかなる事ではない。僕はそれを何とかしようと
する、平成日本のドンキホーテなのかも知れない。

さて、「3時間待ちの3分間診療」という言葉がある。

たしかに患者さんの側からすればその通りだろう。しかしその間医者は何をやっているの
だろうか。控え室で煙草をすったり、お茶を飲んだりしているのだろうか。

とんでもない。診察室で、汗水たらして診療しているのである。

だから、待ち時間が長いと御苦情をおっしゃる方に申し上げたい。どうぞもっと暇な
医療機関にいらして下さいと。紹介状くらいは書いて差し上げますと。それがおいやなら、
本を読むなり音楽を聴くなりして、待ち時間を有意義にお過ごし下さいと。


3.リバビリン悪玉論に異議有り!

9月10日の読売新聞に(そして多分他の新聞にも)、C型肝炎治療薬の「リバビリン」を
服用していた患者さん5人が脳出血を起され、うち3人が亡くなられたという記事が載った。

僕が思ったのは、「またマスコミが、政府の医療費抑制政策の片棒を担いでいるな」という
事だ。

よく記事を読むと、リバビリンは既に2万6千人の患者さんが服用されているという。
つまり脳出血を起された方は、全体のたったの0.02%弱だ。

しかも4人の方は高血圧で、亡くなった方のうち2人は糖尿病もお持ちだったそうでは
ないか。たまたま動脈硬化の危険因子の有る方に、血管病が出ただけの話ではないのか。

思えばやはりC型肝炎治療薬の「インターフェロン」についても、マスコミが副作用の
過剰宣伝をやっていた。しかし今まで何十万人もの人がインターフェロン治療を受けて
いるのだし、200人に1人は何もしなくてもうつ病になるのだから、本当に
インターフェロンのせいかどうかははなはだ疑問だろう。

こういったマスコミの過剰宣伝は、政府による情報操作ではないかとか(マスコミの
情報操作のされやすさは、立花隆さんも「アメリカジャーナリズム報告」(文春文庫)という
本で指摘しているところだ)、更にうがった見方をすれば、医療費抑制政策の片棒を担いで
いるのではないかとか、つい勘ぐってしまう。

まあ勉強しないマスコミも悪いし、またその程度のマスコミを支えている一般大衆も
悪いのだろう。

次回は月並みでは有るが、北朝鮮の話でもしよう。これは以前から、非常に興味を
持っていたテーマだ。


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